冷凍保存愛
案の定、奇妙な空気がクラス中に巻き起こった。
初日に学校に来た生徒たちだったら噂はみんな知っていた。
あの場所に机と椅子が置かれるのはおかしい。あの席には誰も座ってはいけないことになっている。
そんなことが後押しするようにクラスは一体となり、次第に誰があの席に座るのかが専らの話題となっていった。
長期休暇の生徒が一人いるということは小田原が既にクラス中に言っていた。
誰か一人を矢面に立て、みんなは一致団結する。
嫌な空気でクラスはまとまった。
インフルエンザ明けに羽都音が来ても細い目で遠巻きに見ているだけで、顔はポーカーフェイス。
腹の中では笑っている。といった状態になった。
もちろん羽都音はそんなことは知らないし、一生懸命に友達を作ろうと話しかけても誰一人として話してくれる人はいなかった。
結果、羽都音は独りぼっちになり、道子のいる特進クラスまでちょくちょく来るようになって行った。
まさに、思うつぼだった。