冷凍保存愛
あとは機会が熟すのをを待って行動に移せばいい。
それが、今だ。
無機質な空間に等間隔に置かれているカプセルの前を早足に歩く。
酸素を送る機械音しか響かないこの部屋には7つのカプセルが並べられていた。
カプセルに貼り付けてあるのは個体識別番号とプロファイルだ。
中は曇っていてすべてを確認することはできない。
小田原は空のカプセルに羽都音の識別シールを貼り付けた。
「これでいい」
愛おしそうにカプセルを撫で、黒い箱を側に置いた。
隣のカプセルの中には羽都音と同じくらいの年の女子が眠っているように横たわっていた。
マイナス196度だ。
呼吸はしていない。
その隣にはやはり羽都音と同年代くらいの男子が同じように眠っていた。
三つのカプセルの中に三人の高校生と思われる男女が静かに横たわっている。
その横にはまだ四つほどカプセルが並んでいる。