冷凍保存愛
一つには成人女性が、もう一つには少女が眠っていた。
残りの二つのうち一つには羽都音の名前。
残り一つには……
「先生!」
小田原がカプセルを一つ一つ撫でているところに小堺の声が響いた。
「時間通りだな」
顔も向けずに頷いた。
「家の中に先生いらっしゃらなかったので探しましたよ。でも書斎の床が開いていて光が見えたので、勝手に降りてきてしまいました。すみません」
「連れてきたのか?」
「はい」
小堺は後ろを向き、首で前に行けと合図を送る。
「ほら」
小堺の後ろで動かない羽都音の腕を引っぱり、部屋の中へ押した。
「真鶴」
いつも通りの笑顔の小田原に羽都音の眉の間に皺が寄った。
「こっちへ来たまえ」
「…………」
首を振る羽都音は一歩後ずさる。
「君は特別なんだ。君は選ばれた人なんだよ。誇りに思って受け止めなさい」