冷凍保存愛

「この中に羽都音ちゃんがいる。でもそろそろあいつに捕まってるころかもしれないんだ。助けに行かないと」

「なんでお前助けないんだよ。ここにいんなら助けられるだろうが!」

「何言ってくれちゃってんの? 僕がここに来なかったら君たちどうなってると思う?」



 強羅はコーヅが自分たちを助けに来てくれたことを知ると、今言った自分の言葉に腹立たしくなった。



「行こう」

「おう。って待て、道子ちゃんは」

「そこに寝かせておけば大丈夫。綺麗な空気吸ったらすぐに目覚める」

「わかった」

「急ごう」



 強羅とコーヅは走って家の中に戻った。裏口玄関から入りリビングの奥、地下へ続く階段を降り、書斎の部屋までたどり着いた。


 丸いカーペットをはぎ取ると更に地下に続く扉。


「っとに気味の悪い家だな。そういや奥さんどこ行ったんだ」

「……」



 それには答えずにコーヅは強羅が開いた扉からするりと体を滑らせた。


 強羅も遅れずにコーヅに続く。


 地下の地下へ続く道の先から光がこぼれている。


 コーヅは速度を速めて先へ急いだ。
< 195 / 225 >

この作品をシェア

pagetop