冷凍保存愛
「この中に羽都音ちゃんがいる。でもそろそろあいつに捕まってるころかもしれないんだ。助けに行かないと」
「なんでお前助けないんだよ。ここにいんなら助けられるだろうが!」
「何言ってくれちゃってんの? 僕がここに来なかったら君たちどうなってると思う?」
強羅はコーヅが自分たちを助けに来てくれたことを知ると、今言った自分の言葉に腹立たしくなった。
「行こう」
「おう。って待て、道子ちゃんは」
「そこに寝かせておけば大丈夫。綺麗な空気吸ったらすぐに目覚める」
「わかった」
「急ごう」
強羅とコーヅは走って家の中に戻った。裏口玄関から入りリビングの奥、地下へ続く階段を降り、書斎の部屋までたどり着いた。
丸いカーペットをはぎ取ると更に地下に続く扉。
「っとに気味の悪い家だな。そういや奥さんどこ行ったんだ」
「……」
それには答えずにコーヅは強羅が開いた扉からするりと体を滑らせた。
強羅も遅れずにコーヅに続く。
地下の地下へ続く道の先から光がこぼれている。
コーヅは速度を速めて先へ急いだ。