冷凍保存愛
「開かねえ」
強羅は階段を下りたところに扉があるのを発見したがその扉は何をしても開かなかった。
手を怪我していることもあり力が入らない。
それでも普通の人よりも力はある方だ。
蹴り飛ばしてみてもびくともしない。
かろうじて中から叩く音はうっすらと聞こえてきている。
この中に誰かがいるのは確かだ。しかし、開かなければ入ることもできない。
「おい」
これはコーヅに任せた方がいい。
あいつなら一瞬で開けられる。それを思い出し、後ろを振り返って言葉を失った。
コーヅの目が真っ赤に変わっていた。
見たこともない形相。
怒りのオーラと怨念が全身からゆらゆらと立ち上っている。
「……おい!」
強羅はコーヅの前に立ち、目をじっと睨んだ。肩をつかみ、
「しっかりしろよ! ここに入らなきゃ何も終わらないだろうが。しっかりしろ!」
「…………ああ、そうだね。そこ、どいて」
数度瞬きをし、視線を強羅に合わせたコーヅの顔には表情が無かった。
「……おい、おまえ、大丈夫かよ」
「……みつけた」
「……みつけた? ここか」
「ここだ」
いつものように扉にスと手をかざす。
カチッと何かがずれる音が聞こえ、扉が軽くなった。