冷凍保存愛
「はやっ」
静まり返った廊下は変わりなく無機質で、コーヅが通った形跡すらも吸い込んでしまったように静まり返っている。
羽都音は机の間を縫うようにゆっくりと歩いて自分の席に戻り、今までコーヅが立っていたところに立ってみる。
やはり、自分の鞄しか目に入らない。
ほかに目につくものは何もなかった。
「まいっか。なんか明日も楽しみになってきた、ちょっと悪いことしてるみたいでドキドキするな」
んーと背伸びをして窓を開けた。
外で待っていた空気が待ちわびたとばかりに教室の中へ入ってきた。
校門から入ってきている生徒たちの楽し気な声とともに。