冷凍保存愛

「強羅君、羽都音ちゃんはこの中にいるはずだ。助けるのは君だよ」

「……おまえはどうするんだよ」

「確認するよ。全てをね。なんでこの場所を忘れていたんだろう。それに……」


 最後まで言わずにコーヅは扉をするりと抜け中に入って行った。

 強羅も遅れずにコーヅに続く。


 部屋の中はまぶしいくらいに光っていた。





 強羅の目の前には信じられない光景が飛び込んできた。


 見たこともないカプセルの前に小田原が膝立ちで座っていて、そこに寝かせられているのは羽都音だ。


 羽都音の胸元で手が動いている。


 まさか、脱がしてるとかそんなことしてんじゃねーだろうな、あのくそ野郎。


 かっと頭に血が上り、「てめーこの野郎!」叫びながら床を蹴り上げていた。


 まさかの侵入に驚き、顔を上げた小田原の目には男の姿。



「ふざけんなこのクソ野郎が! 羽都音から離れろ!」



 タックルの姿勢のまま突進し、小田原を跳ね飛ばした。

 小田原は成すすべなく床を滑り落ちる。

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