冷凍保存愛

 強羅の眉が寄る。



 人を殺しておいて失敗?




 あと少し遅かったら、コーヅが助けに来てくれなかったら、羽都音も俺もこうなっていた。

 そう考えると強羅の怒りはついに限界に達した。




「ってめー、許せねえ!!!」





 拳を握りしめた瞬間、その拳は小田原の顔面にめり込んでいた。

 メガネを飛ばしながら崩れ落ちる小田原の目にはコーヅしか映っていない。

 口から血を流しながら、驚愕している目には血が滲んでいた。



「塔ノ沢……おおおお前はどうして……どうしてここに。まだ起きてはいけないはずなのに」


「……探してたんだよ。ずっとそれだけが心残りだったんだ。心配だったんだ」


「…………なにが心配だ。おまえたちは選ばれた人間なんだぞ」


「それ、選んだのだってあんただろ」


「未来を見れるんだぞ」


「興味ない」


「妹を探してたのは分かる。でもおまえ自身のことは考えなかったのかよ」


 強羅が割って入った。


「妹は俺の前にいなくなってるから、ずっと探していたんだ。俺自身についてはそうだね、死んだって分かったのは割と早かった。気づいたら羽都音ちゃんのクラスにいたから。毎日気づくとそこにいた。
 そうして探しているうちに小田原、おまえに会って俺も捕まった。最悪なことに俺もお前に騙された。
 そして……最後にすごくもがいたよ。苦しくて苦しくて、死にたくなくて、俺、すごいもがいたよ。この中に入るのが怖くて怖くて仕方なかった。でも……」




 カプセルに入った自分を悲し気に見て、







「……殺された」

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