冷凍保存愛
「俺の計画はまだまだ続けなければならないんだ。多少の犠牲は仕方がないと思っていたが、まさかこんな形でおまえと会うことになるとは。クソ、クソ、クソ!」
「いい加減にしろよ。もう終わりだ。おまえの研究なんてなんにもならないんだよ、全て失敗なんだよ」
コーヅはポケットに手を突っ込んだまま、妹の眠るカプセルの横にべったりとくっついて立っている。
「失敗じゃない。過程にすぎない。それにまだここにペイシェントがいる」
羽都音の脇に両手を入れ、開いているカプセルの方へ引きずる。
「やめろ! 彼女に手を出すな!」
「動くなと言っただろう!」
近づこうとしたコーヅに小田原は目を血走らせながら口の横に泡を溜めて怒鳴った。
その手にはスタンガンが握られ、それを羽都音の心臓あたりに離さずにくっつけている。
「これからだ。これからなんだ。お前の妹、真鶴、私の妻と娘、これらは完璧なる再生を遂げる! 私はそれを見届けなければならないんだ。邪魔はさせん!」
力なく引きずられている羽都音はまだ意識が戻らない。
強羅はようやく呼吸を落ち着け口から流れる血を吐き出し、腕で拭く。
「てめえ……本気で頭来たぞ。そこ動くんじゃねえぞ。今からぶっ飛ばしてやるからなあ」
ぬらりと立ち上がった強羅は首と拳をばきっと鳴らし、小田原の方へ歩く。
「動くな! 何回も言わせんな!!!」