冷凍保存愛

「さあ、真鶴。綺麗にしてやるからな。未来で目覚めるまで少しの間ゆっくり眠っていていい」


 小田原は羽都音の着ている服に手を伸ばしボタンを外していく。



「おいおいおいおい、何やってんだよてめえ、それ以上触ったら殺すぞ!」


「吠えていろ。次はおまえを送ってやる」


「誰が行くかよ」


「逝くんだよおまえは。あの世にな」


「っ…………殺すってことかよ」


「そうだ」



 汚い笑みを浮かべ、額に滲む汗を腕で拭いた小田原はゆっくりと強羅とコーヅを交互に見て、




「君ももう体に戻りなさい。まだ目覚めちゃだめだ」




「……おまえ、狂ってんな。コーヅはな、もう…………死んでんだよ」


 悔しそうに強羅が言い捨てた。


「君の無知にはまいるよ。死んでなんかいない。意識が先に目覚めてしまっただけだ。体はまだ眠っている」


「僕の体はもう動いてないよ。意識もそこにない。そんなのあんたが一番よく分かってるでしょ」


「何を言っている。お前は現にこうやって……」



「もういいよその話。羽都音ちゃんだけはそうはさせないよ」

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