冷凍保存愛

 スタンガンが効かないことに怒りをあらわにしている小田原に対し、来るショックに体中を強張らせて両目をきつく閉じていた強羅が、いつまで待っても来ないショックを不思議に思い、恐る恐る目を開けた。


 ぜんぜん痛くない。目の前では小田原が何度も何度もスタンガンを自分の腕や腹に押し当てている。


「てめえ、ふざけんな!!」


 渾身の力で小田原の顔面を殴り飛ばし、その拍子にスタンガンが手から離れ、床を滑るようにして壁にぶつかった。




「そのスタンガンだって僕が用意したものだ。そっちは使えない状態になっている。信じさせるためにこっちのは本物だけど、出力は弱くしてあるんだ。予備のものはぜんぜん使えないよ」


 小堺は思い出したようにあたみのカプセルの前に寄り、電源を探す。





「……代々木君」


「コーヅさん、待っててください。これを止めたらここから出られるから。そしたらすぐ目覚めます」


「……」


 一生懸命にカプセルを開けるためのスイッチを探しているがどこにも見当たらない。


「代々木君」


「大丈夫です。あたみちゃんもすぐに起きる。だから大丈夫。すぐに電源を探して抜きますから」


 前後左右、カプセルのまわりを手で触って調べる小堺の目からはとめどなく涙があふれている。

 それをコーヅには気づかれないように腕で拭く。




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