冷凍保存愛

 強羅は羽都音の側からじっとその様子を見、何もできない自分が悔しくてもどかしかった。


「代々木君、もういいよ」

「諦めちゃダメです。絶対大丈夫ですから」

「……君ももう分かってるだろう?」

「……」


 それには答えずに小堺はひたすらに探す。


「代々木君」


 コーヅはそっと小堺に近寄り、方に手を優しく置いた。


「ごめんね」

「……っ謝るなんてダメですよ」

「いいんだ。こうやって妹を見つけることもできたし、俺も自分自身を見つけた」

「……」小堺は涙をこらえて肩が上下に大きく揺れ嗚咽を漏らす。カプセルについている手、指先に力が入っている。





「あたみはここにはもういないよ」







 その一言に我慢できなくなった小堺は声を張り上げ、泣き叫んだ。


 泣き止むまでコーヅは小堺の背中に手を当てて撫でてやっていた。


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