冷凍保存愛
強羅は怒号とともにカプセルの蓋を蹴り戻し、力任せに羽都音を担ぎ、離れた。
コーヅを無視してカプセルに走り寄る小田原はまだ羽都音に血走る視線を向けている。
「真鶴を寄越せえええええ」
憑き物に憑かれた形相で執着する小田原の背中を小堺が思い切り蹴り飛ばした。
前のめりにカプセルの中に倒れる小田原の背中にスタンガンを押し当てた。
微弱に設定してあるため効き目はないが、前のめりにカプセルの中に倒れ込んだ小田原が体を上に戻す前に無情にもカプセルが閉まろうとしていた。
小堺が小田原の肩にスタンガンを押し当て、リモコンをコーヅが操作する。
速度を速めて閉まったカプセルを内側から鬼の形相で叩く小田原の目は飛び出そうなくらいに見開かれ、唾を飛ばしながら叩き続けている。叫び声は悲鳴に変わった。
足の方から凍りはじめ、カプセルが徐々に白んできた。
震えはじめる小田原の目には恐怖しか浮かんでいない。
涙、鼻水、涎を垂れ流し、指を不自然に曲げて内側からカプセルをひっかき続けている。
激しく痙攣し、カプセルが左右に音を立てて揺れる。
最後の叫びをあげたまま、小田原は生きたまま凍らせられていった。