冷凍保存愛
「よし、じゃ、これを持って教室にもどろうか。みんなにおまえのことを紹介しないとな」
「……」
「どうした?」
「なんでもありません」
「そうか。なんかあったらなんでも言えよー」
頭にパフって大きな手を乗せられ、はにかんだ笑顔になる。
「わかりました」
顔がほてるのを感じた。
教室に戻るとみんなまだ話に花を咲かせていて、小田原が「始めるぞー」と言うまでがやがやし続けていた。
黒板の前に立ち、みんなの顔を見ながら自己紹介を済ませ、自分の席に戻ろうとしたとき、小田原に呼び止められた。
何かと振り返ると、髪の毛に手が伸びてきて、ごみがついてるぞーと髪の毛の中に手が入ってきた。
びっくりしたけどそれほど嫌でもなく、お礼だけ言って、自分を好奇な目で見るクラスメイトから早く逃れるように席に戻った。