冷凍保存愛

「僕も後から行きますからそんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。それに未来で眠りから覚めたときに導く者がいなければあなたたちは何をしたらいいのか分からないでしょう?」

 男はまわりを見渡し、等間隔に並べられた棺桶ほどの大きさのカプセルを愛おしそうに眺めた。


「そんな、ところに……行きたく…くない。だか…から、帰して。帰りたい」


 震える唇をなんとか動かし、消え入る声で男に懇願した。


「あなたは未来に生きる資格(チケット)を幸運にも手に入れたんですよ。それをみすみす逃すなんて、そんな馬鹿なことを言うのはおよしなさい」


「そんなせかせか……せかいになて……いい生きたくない」


「許しません」



 一蹴すると男は腕時計を確認すると、時間が来たことをペイシェントに告げた。






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