冷凍保存愛

 来年のクラス替えまで友達ができないだろうと思うと切なくなるが、そんな気持ちを振り払うようにグラウンドに目を向けた。


 やはり昨日と同じように最後の生徒が入って校門が閉められてもコーヅの姿はどこにも見当たらなかった。


 咳払いが聞こえ、何気なしにそちらに目を向けると、自分を冷たい目で見ている女子、あの例のかわいい部類のグループと目が合った。


 冷たい目と同時にこそこそと話すその様子から好意的なものは受け取れなかった。

 イヤホンを耳に押し込め、ボリュームを上げて喧騒を遮るようにして視線を外に向けた。

 自分のことを話して笑っている一団が視界の片隅に入るが、空気のごとくそれを無視した。

そして、グラウンドに目を落とす。



 コーヅの姿を探して。



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