冷凍保存愛

「教室にはもう何もないね」

「うん、私もそう思う。昨日もこのクラスを観察してたけど、取り立てて目立つ問題もなかったし」

「今日は職員室を探してみよう」

「え、職員室入るの? なんかちょっとそれは」

「大丈夫。何も触らないから。それこそ触った形跡を残したら月曜日に問題になるでしょ? そんなことはしないし、君に迷惑をかけることはしないよ」

「触らなかったら大丈夫だよね」

 微笑まれた顔は優しく、いつもの通り髪の毛は光に反射して輝き、さらりと揺れた。

 すっと視線をそらし動揺を隠した。心臓はドキドキと音を立てていて、今にも音が聞こえてきそうだ。

 男子と二人で話すことなんてないし、そもそもどう接していいのかすらわからない。



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