冷凍保存愛

 誰もいない職員室はしんとしていて少し不気味だ。

 紙の匂いとインクの匂い、それと少し埃の混じった匂いが心地よく鼻に届く。

 職員室の中は時計の針の音しか聞こえない。

 コーヅと羽都音は先生たちの机のものを触らずに目視だけでチェックしていったが、至って問題はない。


 一年も前の話だ。


 今ここにそれを示すものがあるという確率は極めて低い。

 長方形に広い職員室を半分に分けて見回っている、その反対側を真剣に何かを探し出そうとするコーヅの顔は真剣そのもの。


 そんな表情すらもかっこよくてドキッとする。


「やばいやばい。コーヅ君を眺めてちゃダメだよね」


 視線を机に戻し、ゆっくりではあるがしっかりとチェックしながら最後の席まで行くと、壁際、荷物置き場のようなところがあり、そこに使っていない机が一つ無造作に置かれ、埃を被っていた。



 その上には段ボールが乗せられていて、中はプリントが乱雑に投げ込まれていた。



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