冷凍保存愛
一人頷いたコーヅは、ここは気づかなかったとぼそりと呟き、机の上や下を見て何があるか確認した。
羽都音は昔のものが出てくることが面白く、机の中にも何か入っているんじゃないかと引き出しを引っ張り中身を確認し始めた。
一番下の大きい引き出しを開けたとき、茶色いべっ甲でできた髪留めが埃を高く積み上げて、見つけてくれるのを待ってたとばかりに顔を覗かせた。
「見て。きれいな髪留め」
手に取り埃をふっと吹いて光に当てると輝きを取り戻したように光りだした。
羽都音のすぐ後ろでコーヅがじっとその髪留めを凝視し、隅々までチェックしていた。
「見てこれ。なにかの手がかりになるかな」
「すごくなると思う」
くるくると角度を変えて眺めていた髪留めを危うく床に落としそうになったのをコーヅがさっと拾い上げ、ポケットにすっと忍ばせた。