冷凍保存愛

 羽都音は結局GW中にコーヅと会うことはなかった。

 7日8日も会えなかったが『三日目の正直』と自分なりに考え直し、半分祈りながら金曜日の朝いつもの時間に学校に行った。


 梅雨と初夏が入り混じった季節は落ち着かなくなる。

 それに便乗するように神経も高鳴り、もう会えないんじゃないかという残念な気持ちが鎌首をもたげてきた。


 いつも通り教室を覗くと一番後ろ、自分の席の横の窓が開いていて、柔らかい風が教室内を駆け巡っていた。

 光輝く髪、逆光になっていて陰になっているが、そこには待ち望んだ人がいた。


 心臓がドクンと音を立てた。


 相変わらず自分の机をじっと見ているが間違いなくあの制服はコーヅだ。

 跳ねる心臓を落ち着けるように胸の前に右手を置き、小さく深呼吸した。




「コーヅ君」




 振り向いたコーヅの視線がぶつかり、にこりとお互いに微笑んだ。

 おはようと言う懐かしい声、聞きたかった声に羽都音ははにかむような笑みで傍に寄った。


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