冷凍保存愛
「いや、ごめん。そこはもうあの……」
道子にコーヅと学校で会っているのを言ってしまったことを素直に話した。
コーヅは驚きもしなければ嫌な顔一つしなかった。
「そっか。それなら協力してもらったほうが良さそうだね」
「コーヅ君のことは口外しないように強く言っとくからね。てか一回言ったんだけどもう一回言っとく」
「ありがとう。羽都音ちゃんの友達なら安全だしね」
道子にはきつく言わないとと心で頷き、放課後また会おうという約束を今度は羽都音からすると、コーヅは少し驚いた顔をしたが、すぐに「わかった」と返事をし、いつも通りの笑顔を顔に浮かべた。
そろそろ8:15になる。
生徒たちの話し声が聞こえてきた。コーヅの帰る時間だ。
「じゃ、また放課後」
「うん。気を付けて帰って」
「ありがとう。今までも見つかってないから大丈夫」
「だね。私校庭見ててもコーヅ君いつも見えないもん。すごいよ」
コーヅはその言葉に真顔になる。
羽都音は下を向いてはにかんでいる。
じっと羽都音の顔を見続け、ふと視線を床に落とし、口元を緩めた。