冷凍保存愛
あの席には今まで絶対に机は置かれなかった。
それが暗黙の了解だったが、今年に限ってはそうはならなかった。
そしてそこで出会ったのが羽都音で、これには何か意味があるはずだし、もしかしたらまた不吉な事件がおこるのではないかと危惧していることまでさらりと告げた。
「その噂なら俺も聞いたことがある。あいつを心配したけどあれには道子ちゃんもいるし問題ないだろって考えてた」
「そうでもないよね」
「いやだからそうなるとは限らないだろう」
「ならないとも限らないよね」
コーヅはきれいな笑みを強羅に向け、その顔に強羅は舌打ちをした。
「どうしても見つけたいんだ」
「分かるけど、お前そのことだけど、羽都音は知ってるのかよ」
「知らないと思う、僕も最初はびっくりしたけど、彼女は何も知らない。ほんとこっちがびっくりだよ」
「おまえ、あいつのことたぶらかしてんのか。だったら」
「そんなことしない。絶対にしないよ。約束する。それに、君が羽都音ちゃんに言おうとしたらさ、僕もばらすから」
「ばらすって何を?」
「携帯電話の中の写真」