冷凍保存愛
「お前!!!」
「ふふん。甘く見ないでね」
にっこりほほ笑むと右手を強羅に向けて指しだした。握手を求める手だった。
「てめえ」
「ここは組もうよ」
強羅はなんとも言えない怒りと戸惑いの表情でコーヅをにらみ、その白くてほっそりした手を恨めしそうに睨んだ。
「終わったら、引くから」
急に真面目になったコーヅの顔につられ、強羅も真面目な顔になる。
「約束」
こくりと頷いたコーヅに、よしと小さく、自分を納得させるように声を出すと、その白い手をがっしりと握った。
その手は冷たく無機質なもののように感じた。
「あーあ、君じゃなくて羽都音ちゃんだったらなあ」
「うるせー。言うな」
そこへ羽都音が戻ってきて、仲良く握手なんかしている二人を何があったんだろうと不思議に思うも、笑顔の二人を見て、喧嘩しなくてよかったとほっとした。