冷凍保存愛

「強羅君にも手伝ってもらうことにしたよ」

「え? 話したの?」

「二人よりもさ、ほら、見てこの体格、なんかあったらやっつけてくれそうでしょ? その間に僕は羽都音ちゃんを安全なところへと助け出せるし」

「何勝手なことを! 俺はなんだあれか、用心棒とかそんなもんか?」

「「そうだね」」

 羽都音とコーヅは同時に思ったことを言い、それがおかしくて三人はくすくす笑い出した。少し空気がほぐれたような気がした。



 私は一回もコーヅに触れたことがないのに、今さっき強羅とは握手をしていたことを思い出し、コーヅの容姿を再確認すると、やはり中性的。逆に強羅は絶対的に体育会系アスリートな体。


 もしかしたらコーヅは例の組合の人なのかとひそかな勘繰りをしてしまうが、まさかと首を振り、自分のこの不確かな考えは遠く彼方へ葬り去ることにした。


 歩く二人の男子は『大・小』という文字がしっくりとくる。女子が一人いるのにお構いなしに前を歩く二人の男子にちょっと文句も言いたいけど、ひとまずここは妹探しの件を優先することにした。

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