冷凍保存愛
二人の男子の前にはバイトを終えて仕事場を出て家路に向かう小堺の姿が垣間見得た。
そうだ、まずは小堺の動向を追うことが先決だ。と、羽都音は再度認識し、自分の淡い恋心はしばらく封印することにした。
「あああああ、小堺君の家ってここなの?」
家に入ろうとした小堺は自分に話しかける声にびっくりして振り返った。
そこには羽都音と強羅とコーヅがいる。
「君たち、何?」
警戒心を強めた小堺は後ろ向きに家の中に入ろうとし、それに引き離されないように羽都音たちも一歩一歩詰め寄る。
「いや、あの、びっくりしないで、ほら、道子と同じクラスの人でしょ?」
「道子ちゃん?」
顎を手で触りながらクラスの記憶を遡り、羽都音の顔を見ながら記憶を手繰る。
「山際道子」
「ああ」