冷凍保存愛

 小堺は羽都音の背中を見送ると、玄関に入り込んできているコーヅと強羅を思い出したように見た。


「いや、ほら、俺等も一緒に上がらせてもらうよ。あいつが戻るまで」

「なんなの君は」

「俺? 俺はあいつの幼馴染でさ、いきなり腹痛いなんて言い出すから急いで帰ろうと思ってたところ、お前を見つけてよ。あいつがお前を知ってるっていうからこうなったわけだ」

「ああ、そうなんだ。じゃ、どうぞ。そこでもなんだから上がったら」

「いいのか」

「彼女も落ち着かないと思うし」

「そうだな。じゃ、遠慮なく」

 靴を脱ぎ、出されたスリッパはボロボロだったけどきれいに洗ってあった。

 コーヅと強羅はそんな対応をする小堺に首をかしげ、お互いに目で『本当にこいつが?』という疑念を抱かないわけにはいかなかった。



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