死が二人を分かつとも
序章

乾いた風が、水分を奪っていく。

それでもなお、私の目からは止めどなく涙が流れていた。

空が近い。
地上から幾らか離れたここは、私が知る限りで、一番空に近い場所。

学校の屋上が、私の限界だ。
もっと生きれば、ここよりも空が近い場所に行けただろうに。

「……もう」

嫌だと、声が涙に変換された。

グラウンドが見下ろせる場所まで足を進める。一歩二歩、深呼吸をするかのようにゆっくり、深く、踏み込む。

風に乗って、悲鳴が聞こえた。
断末魔の単語が頭を過ぎる。

「……っ」

耳を塞ぐ前、名前を呼ばれた。

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