死が二人を分かつとも
「弥代くん、いったい、何をしたの……!」
思い出したくないことを、無理に思い出そうとする事で起きる拒絶反応。
『思い出さない方が良かった』、そんな結果が待ちかまえていても、私は真実を知りたがった。
「答えてよ、弥代くん!隠していること、全部!」
私の好きな人のままで、いてほしいから。
泣きすがる私をあやす手。数秒の沈黙の後。
「そよ香、生まれ変わろう」
開口一番の台詞が、それだった。
答えでも何でもない。
違うと否定しようにも、彼は矢継ぎ早に言う。
「生まれ変わった方がいい。こんな場所より、現実に行こう。俺たちなら、絶対にまた、結ばれる。こんなにも愛し合っているんだから。死んでもまた出会えるなら生まれ変わってもまた会えるに決まっている。そうだ、そうする。そよ香が寂しくないよう、俺はどんなに離れていても追い付く。どこまでも追いかける。何度死んでも、生まれ変わっても、俺はそよ香とまた結ばれる。今度も俺から告白する。次は結婚式もあげて、長生きするんだ。
白い犬も飼って、二人仲良く生きて、また二人仲良く死んで、生まれ変わる。何度も何度も何度も……!俺はずっと、そよ香のそばにいる!なあ、そうしよう。お前もその方がいいだろう?いいに決まっているよな。他の選択肢なんか選ばないよな!なあ、そよ香!」