死が二人を分かつとも

己が肉が潰れる音を聞く。
吐瀉物を吐いた時の音に似ていた。

体中の血液が巻き散る。
頭が真っ白になったくせして、すぐに赤色。

鮮血色の眼球が魚のようにギョロギョロ動く。四肢が動かない代わりに、絶叫出来ない代わりに、閉じる方法も忘れた瞼は開いたまま、眼球がよく回る。

骨が粉々に砕けていく。
砕けた骨が、内臓を蹂躙していった。

泡を含んだ血が喉につまり、内側から首を絞めていくようだった。

悶えることも出来ない熾烈でも、これで終わったと安堵している自分もいた。

本当に一瞬だった。
これから先、何十年と生きられる命でも、たったこれだけで死ぬことが出来る。

彼とも、離れられる。

目は、いつの間にか閉じていた。
痛みも薄らぐ。眠るような気持ちになった時ーー

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