死が二人を分かつとも
「いやぁ、助かりました“死人”(しびと)さん!」
「……」
「まったく情けないですねー、手前も。うたた寝してたら落ちてあのざま!死人さん来なかったら、ツタとのランデブーで昇天しちまってましたよ!」
「……」
「あ、撫でんなら、もっと強くお願いします!撫でられんの初めてっ、あーきもちー。ん?どしました、死人さん」
放り投げた。
そうして、後ずさる。
「わ、わわわー!」
最後に悲鳴。
きゃーと女らしくならないほどに、驚愕した。
「しゃ、喋るの!?」
「なんなら、歌っちまいます?」
パタパタ飛んで来るコウモリから、距離を取ろうとしたけど、尻餅をついてしまった。
「や、やだ!」
「んな嫌悪せんで下さいよ。死人さんが助けてくれたくせしてー。あ、そっちじゃ手前みたいなのが喋るとアウトなんすか?もしくは、うら若き乙女に対して、死人さんはまずいですか?お嬢さんにしときます?」
「誰かっ、誰かー!」
あれだけやってはいけないと思った『誰か』を呼ぶ。怖い人でもこの際いい。『得体の知れない怖い物』よりはよっぽどいい!