死が二人を分かつとも


ーー認めたところで、悲しいのは消えないじゃないか。

「人間諦めが肝心って言うそうじゃないですか。諦めないままもがいていたら、ずっと苦しいまんまですよ」

認めないと諦めないのを同義語として使われる。

無駄な足掻きの言葉がよぎった。

認めて受け入れるしかない。コウモリの言うように苦しいままだ。

何よりもーー寄り添って慰めてくれるモノを拒絶したくなかった。

私の肩に止まり、羽でよしよしと頭を撫でられる。

喋るコウモリなんかいない。
こんなに優しいコウモリもいない。

胸が引き裂かれるような悲しみも、誰かの優しさで癒える心も、全部本物だ。

「私……死んだの?」

「はい」

「地獄なら、私、悪いことをしたの?」

「多分」

翼が折り畳まれる。
考え込むコウモリは、私の前に着地した。

向かい合い、またうーんと考えているようだった。

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