死が二人を分かつとも
私と弥代くんが、並んで歩いている写真。
ーーそれはもう、楽しそうに。
実際に楽しかった、外でのデート。
付き合ってから一年目のお祝いでした、あの日のデートが。
「最初はさー、そよそよの性格だから、きっと言いづらかったんじゃないかなぁって思ったんだ。なのに……なのに、『真奈より可愛くないし』?『私なんか、掛川くんと付き合える訳がない』?
あんたの性格って、つまり『それ』だったわけでしょ?上辺だけは謙遜してさ、裏でみんなの憧れの男子と付き合って、いい気になっていたんじゃない?だよねー、調子乗るよね。親友裏切っても、平気で嘘つけるほど楽しいよね。あたしや由紀たちが、フラれた話題話す度、内心笑ってたんでしょ。自分は、あんたたちが付き合えなかった男とつき合っているって、優越感に浸っていたんでしょ、ねえ!」
「そんなこと……!」
「あるからそう言ってんでしょ!」
ヒステリックな叫びは、クラスだけじゃなく廊下にも響く。
野次馬が集まって来た。私を悪者と見る野次馬が。
「なになに?」「ほら、ラインで回ってきた」「あ、あたしはツイッターだった」「ああ、あれが」「え?掛川くん、前々から付き合っていた子がいたのっ」「うそー、あんなのが」「隠してたんだってー」「ひど、さいてー」「顔も性格もブスじゃん」
ひそひそ声でも耳に入る。
そのどれもが、私を責め立てた。
「ちがっ、違うの!わ、私はーーただ、真奈たちを傷つけたくなくて、弥代くんに秘密にしてほしいって」
「やっぱ、あんたが掛川くんに秘密にしようって言ったんだ。フラていくあたしたちを、鼻で笑いたいからー」
「そうじゃなくてっ」
「そうだって言ってんでしょ!もう、あんたの言葉、何一つ信じらんない!あんたなんか、親友でも何でもない!消えてよ、最低女!」
何十の人から非難される。私が泣きそうになれば、せせら笑う声。
味方が誰一人もいない。
誰も私の話を聞いてくれない。
だからーー