死が二人を分かつとも
ーー
空が近い場所に、導かれた。
「学校の屋上、初めて来た」
鍵がかかって立ち入り禁止のはずだったのに。彼は、造作もない顔で、持っていた鍵を私に預けた。
「そよ香が授業サボりたくなった時ように、合い鍵作っておいた。そよ香にやるよ」
だとすれば、学校側のセキュリティーの問題があることになる。
「弥代くんは頭いいから、こうなること予想していたの?」
「お前が、予想していたことだろう」
弥代くんと付き合っているのが知れたら、どうなるか。
最初は、私みたいな子ではみんなが傷つくと思っていたのに、時が経つにつれ、別の思いも芽生えてきてしまった。
「嫌われちゃった」
嫌われてしまう恐怖。
真奈が言うとおり、私は根暗だ。人付き合いに向いていない。
特に秀でたところもなく、楽しい話も出来ない。
裏目裏目に出てしまった私の行動。
真奈を泣かした、みんな傷ついた。嫌われた。そうならないためにも、やってきたつもりなのに。
「フェンスないから、それ以上行くなよ」
掴まれた腕に従う。もとよりそんなつもりはなかった。ただ、下を見てみたいと思っただけで。
「どうしよう……」
彼にすがりつく。唯一の味方に。
「どう、しよう……っ」
答えが分からないから、繰り返す。子供のように。
流れた涙は、きっと真奈の方が苦しかっただろう。隠してきた私が泣ける身分でもないのに、さっきのことがそうとうに応えた。
みんなの悪者になった。
多くの人から非難されることに、身が潰されそうだった。