死が二人を分かつとも
「俺がいるじゃ、解決しないか」
どうしようもないことでも、彼は必ず答えを出してくれる。
嫌われてしまったことを戻すことは出来ない。弥代くんが口添えをしてくれたことで、私は目の敵のままなんだ。
弥代くんを、好きなままなのだから。
「俺のせいだよな、そよ香がこんなになっているのは。ごめん」
謝る彼に、そんなことないと首を振る。
「弥代くんのせいじゃない。私がーー」
「お前だって悪くない。どっちも悪くないのなら、あいつらが要らない奴らだよな」
「弥代くん?」
「俺にとって、味方したいのはそよ香だけだ。だからこそ、あの時、あいつらがそよ香を責め立て、腹が立った。凄く。落ちていたペンを喉元に突き刺したいと思うほど、黙らせたかった」
彼から一歩身を引く。
駄目だよと、言えば、分かっていると頷かれた。
「許されることじゃないもんな、普通は。でもさ、そよ香、お前が許してくれるなら俺は」
「やめて、お願い。そんなことしたら、弥代くんが……」
彼の私への好意が、どこか行き過ぎているのは、察していた。でも、踏み越えてはいけない場所までは来ていない。
「そう、だな。変なこと言った。忘れてくれ。他にもやりようがあるし。とりあえず今は、落ち着くまでここにいようか」
俺も付きあうよと、高い身長が私を包み込む。
彼がいれば、それでいい。
そう思えるほど、力強く頼もしい腕だった。