死が二人を分かつとも
ーー
「春野、俺と付き合わねえ?」
え、と辺りを見回せば、夕暮れの帰り道だった。
弥代くんに告白された公園。
そうだ、そこで岸谷くんが私を呼んだから立ち寄ったのに。
「なあ、聞いてるー?俺と付き合おーって」
言葉だけ見れば、告白。
しかして、岸谷くんの周りに数人の男子がいれば話は別だ。
ニヤニヤと、あからさまな悪意ある笑顔で見られている。かくいう岸谷くんも、同じ顔をしていた。
「ごめん、からかっているなら」
「からかってねーよ。マジで付き合いてーの。お、れ、ら、はー」
逃げようとすれば、いつの間にか公園入り口にも同じ制服を来た男子がいた。通せんぼうをする形で、私の行く手を遮っている。
「とりあえずさ、カラオケにしよ。明日学校休みだし、オールしようぜ。な、いいだろ!掛川には、黙っておいてやるからさー」
数えるだけでも八人の男子生徒が、私を取り囲む。足先から震えた。それなりに成長すれば、彼らと過ごすことが何を意味するのか理解出来る。
「やだ、お願いだから、帰してよ」
「つれないこと言うなって!同じクラスの友達じゃん!友達なら、カラオケ行くぐらい普通だろ?あ、もしかして、期待されてる?」
「春野さーん、掛川くんとはどうやったんですかー」
「俺らにも教えてくださーい」
からかう野次が飛び交う。
涙目になれば、泣いちゃったーと更にからかわれる。
「寂しいんなら、掛川呼ぼーか?俺らはそれでも構わねーけど」
スクールバックを取られ、スマフォを奪われた。
返してと叫ぼうが、他の男子が立ちはだかり邪魔をする。