死が二人を分かつとも
「不登校になれとは言わない。高校なんて他にもあるんだ。編入しよう。俺もそよ香と同じ場所に行くから」
「ダメだよ、そんなの……!弥代くんまで、辛い思いする必要はない!」
他県から、わざわざこの高校に来た彼の意思を、私に合わせて変える必要もない。
風当たりは私にしか向いていない。
私さえ我慢すれば、いいんだ。
「それに、逃げるなんて出来ないよ。私が、みんなに酷いことをしたのは事実なんだから……」
親友を泣かしてしまったことは変わらない。
嫌われてしまっても、まだ私の『親友』は真奈のまま。謝り続けたい。
「間違っているよ、そよ香。悪いのは、あいつらなのに」
ぼそりと呟く彼も、私を嫌ってしまうのか。
不安にかられてしまったが、繋がれた手には指輪。隠す必要がなくなったと言わんばかりに、彼の指輪は輝いて見えた。
「私、指輪……」
「お前のは、まだ指にはめなくていい。取られるだろうから、大事にしまっててくれ」
胸元の指輪に触れる。
嫌いにならないの、と聞いたつもりはないのに、彼は答えるかのように私の体を抱き締めてくれた。
「お前が良いようにやろう。俺は、そよ香が何をしても嫌いにならない。絶対」
何をしても許される。
それだけは覚えてほしいと、耳元で囁かれた。