スケッチブック
発覚
ある日。
その日は確か雨、だったかな。
学力テストが終わって帰宅したら、
自宅に一件の留守電が入ってた。
相手は知らん番号。
でも『折り返し電話ください』て言うてはる。
うちは電話をかけ直した。
プルルルル…
『もしもし?』
「あ、先ほどお電話いただいた相川ですけども。父に何か用でしょうか?」
目上の人には敬語。
昔からのオトンの教え。
すると、
『相川信也さんの娘さんですか?』
…相手はうちに用があったらしい。
「はい。相川美穂と申します。」
通信教育とかやろ~。
そう思ってんけど…。
『信也さんが働くコンビニの店長の中西言います。』
「は、はぁ。」
中西店長の話は聞いたことあった。
どうやら通信教育では無さそうやな。
『先ほどですね…
お父様が市内の病院に運ばれまして。』
一瞬、時が止まったかと思った。
何で。
今朝まで元気やったオトンが。
「…どこの病院に運ばれたんですか?」
冷静に、って自分に暗示をかけたつもりが。
びっくりするくらい声が震えてん。
うちは財布と携帯だけ持って、
戸締まりをして家を駆け出して、
病院まで全力疾走した。