蜜 の 園~美男子たちのキケンな秘密★~
これは、とある家庭のひとこま。
時刻は、午後8時。
そこは、高層マンションの上層階で20畳の広々としたリビングダイニング。
今から、我が家の遅めの夕食が始まろうとしている空間だったりする。
母によって、ダイニングテーブルの上に並べられた夕食の品々からあがる湯気をぼーっと眺めるあたしが、そこにいる。
ガガッー
椅子を引く音が室内に響いた。
それは母が一通り夕食の品々を並び終え、あたしの目の前の席へと腰を下ろした音。
『出来たわよ…』
「うん…」
ただ一言ずつ会話を交わした母とあたし。
そして、どちらともなく夕食を食べ出した。
その中で聞こえてくるのは、カチャカチャという食器音と、ザワザワというテレビの音だけ…。
そこに確かに母とあたしという【人間】が存在しているのに会話は、ない。
お互いに目を合わせる事もしない。
ただもくもくと‘食する’だけ。
そう。
これが我が家のいつもの食卓の風景だ。