無題
沈黙は闇より恐ろし 二章
「うわああっ!!」
公平が奇声を上げる。影は飛び込んで来るなり、近くにいた公平に飛びかかってきたのだ。突然のことに、僕はなす術なく立ち尽くす。
「公平くんっ!!」
しかし、影から発せられたのは、聞き覚えのある声だった。
「…絵美?」
落ち着きを取り戻した公平が、涙目になっている絵美を見下ろす。絵美はやっと安心したように、ぐったりと力を抜いた。 「どうしたの?」
悲鳴を聞きつけた響子がやってくる。後ろには、ビクついた俊夫がひかえている。
「何があったの?」
響子が絵美の側にかがんで安心させるように手を置いた。そして、辺りをぐるりと見回し険しい表情になる。
「…エミは?」
──僕はようやくエミが居ないことに気付いた。
「あたし、エミとはぐれちゃったの…」
俯いて、ぽつりと絵美は話し出した。
「2人でここから出て、門の方へ向かったんだけど…途中でエミが、誰かが見てる、戻った方がいいって…。あたし怖くなって、兎に角エミと2人で走り出して、ここに戻ってきたんだけど…」
絵美の声が段々小さくなる。
公平が奇声を上げる。影は飛び込んで来るなり、近くにいた公平に飛びかかってきたのだ。突然のことに、僕はなす術なく立ち尽くす。
「公平くんっ!!」
しかし、影から発せられたのは、聞き覚えのある声だった。
「…絵美?」
落ち着きを取り戻した公平が、涙目になっている絵美を見下ろす。絵美はやっと安心したように、ぐったりと力を抜いた。 「どうしたの?」
悲鳴を聞きつけた響子がやってくる。後ろには、ビクついた俊夫がひかえている。
「何があったの?」
響子が絵美の側にかがんで安心させるように手を置いた。そして、辺りをぐるりと見回し険しい表情になる。
「…エミは?」
──僕はようやくエミが居ないことに気付いた。
「あたし、エミとはぐれちゃったの…」
俯いて、ぽつりと絵美は話し出した。
「2人でここから出て、門の方へ向かったんだけど…途中でエミが、誰かが見てる、戻った方がいいって…。あたし怖くなって、兎に角エミと2人で走り出して、ここに戻ってきたんだけど…」
絵美の声が段々小さくなる。