片想いのユクエ
先輩はその後、なに言ってんだ、俺…と付け加えて苦笑した。
そして一呼吸おくと私に背中を向けた。
「まぁ、俺がいいたかったのはそれだけっすから。」
「あ、あの……!」
気がついたら先輩の服の裾をおもいっきり掴んでいた。
な、なにしてるの私……!
話すことなんてないのになに引き止めてるの…!
「きょ、今日は…その…お友達と海に遊びに…?」
挙げ句の果てに思いついたのは、なんともどうでもいい質問。
「まぁ。遊びっつーか旅行みたいな感じっすかね。この辺観光するとこ多いし。」
「そ、そうなんですか。じゃあ泊まっていくんですか?」
「うん。あそこのホテルに」
そう言って指差した近くのホテル。
じゃあ先輩にまた会えるかも…。
なんて考えて少し顔がほころぶ。