その鎖で縛りつけて

きっと、急に違うところに来たから心が戸惑っているだけ


日にちが経てば、きっと要さんたちのことは忘れるはず


今の私には時間が必要なんだ


もう、あの屋敷に戻らない
そういう覚悟でここまで来たんだから


そもそも、私をこんなところまで来て迎えに来てくれる人なんかいるはずない


ここで、実里ちゃんと圭くんと暮らしていくんだ


やっと、あの生活から抜け出すことができたんだ


意味も無く要さんに抱かれて、抱かれた後は泣いて
また抱かれて…

私の身体はもう、自由だ



私の身体に付けられたいくつかの少し薄れた紅い痕を見た



まるで、私を縛りつけている鎖のようだ


『俺を忘れるな』とでも言ってるよう


これが消えたら、この鎖は外れるのだろうか













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