その鎖で縛りつけて
その触れる指先が

今、私は要さんの部屋にいる

私を呼んだ要さんはというと、まだ仕事をしている


…本当、顔はかっこいいのにな


パソコンで何やら打ちこんでいる要さんの姿を見ている


「どうした、詩織
そんなに俺の顔を見て」


パソコンから目を離さずに言った


「…いえ、用事があるのなら、早く終わらせていただけないかな、と」

今のは半分嘘

この部屋を出て行きたいのは本当だけど、少しだけ要さんの顔に魅入ってしまっていた


すると、要さんは席から立ち
私の方に近づいて来た


「今日買ったドレス、お前がもらえ
俺がお前のために選んだんだから
後で、中川に持って行かせる」


「いえ、自分でなんとかします
結構です」


「お前がドレスを買えるような金を持っているか?
いいから、もらっておけ」


「…命令ですか」


「ああ」


確かに私に何かを買えるようなお金なんてない

だからといって、祐樹さんが誘ってくれたパーティーに行かない、なんていうのは祐樹さんに失礼だ

だから、もらっておくしかない


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