愛を欲しがる優しい獣
早速ふたりで庭に出て、バケツに水を張る。
鈴木くんはろうそくに火をつけて、風で消えないように周りを石で囲ってくれた。
「どれからやろうか?」
選択肢はあまり多くない。私は適当な手持ち花火を手に取って鈴木くんに渡した。
揃って火をつけると色とりどりの火花が、先端から飛び出してくる。
「綺麗ね……」
「うん」
打ち上げ花火は一緒に見られなかったが、こうして肩を並べていると先ほどの物悲しい気持ちが薄れてくる。
会話が途切れるたびに、次の花火に火をともす。
そうやって一通り遊び尽くすと、最後に残ったのは線香花火のみとなった。