愛を欲しがる優しい獣
31話:愛のことば
<君はいつも家族のことばかりだね>
(どうして?それのどこがいけなかったの?)
<君は本当に俺のことが好きなの?>
(好きよ。あなただって私のことが好きだって言ってくれたじゃない!!)
蓋を開けた想いはどこまでも、どこまでも追いかけてきた。
足を止めたら最後、切れない鎖となってこの身を縛り付けるだろう。
一体、どこで間違えたのだろうか。
<君には恋愛なんて出来ないよ>
頭の中で何度もこだまする。いつまでも経ってもこの暗闇から抜け出すことが出来なかった。
私はひとりだった。
自分の恋する気持ちに自信が持てなくなったのはその時からだ。
彼を慕う気持ちを彼自身に否定され、なにが恋で、なにが愛なのか、私にはもう分からなくなってしまった。
誰か教えて欲しい。
どうすれば、もう一度恋をすることが出来ますか。
どうすれば、鈴木くんの気持ちに応えることが出来ますか。