愛を欲しがる優しい獣
「佐藤さんは、俺が横領の片棒を担いでいるんじゃないかって思わなかった?」
佐藤さんは大きく目を見開いた。構わず続ける。
「俺は、本当は佐藤さんが考えているほど良い人でも優しい人でもない」
……利用するだけ利用して要らなくなったら捨てれば良い。
それはこちらも同じことだった。俺だって彼らを利用していたのだ。
……俺には友達のふりをしてくれる他人がどうしても必要だったからだ。
常に求められていたのは完璧な優等生像で、些細な汚点も許されなかった。
「どうしてそんなことを言うの?」
「どうしてだろうね」
俺は酷薄な笑みを浮かべた。
……佐藤さんがあまりにも盲目的に俺のことを信じるから、試してみたくなるのだ。
ほら、やっぱり優しくないだろうと、笑みを深くする。