愛を欲しがる優しい獣
「これからどうなるのかしら……」
「やったっていう証拠は出てきても、やっていないっていうことを証明するのは難しいからね。しばらくはこのまま自宅待機かな」
俺はもぐもぐと口を動かし、リビングテーブルに並べられたおかずを次々と消化していった。
よっぽど空腹だったのだろう。佐藤さんがお茶を淹れ終わるころには皿はあらかた空になっていた。
「もし、証明できなかったら……?」
想像を悪い方にはたらかせている佐藤さんに向かって事もなげに言う。
「……まあ、いざとなれば転職すれば良いし」
俺は佐藤さんが淹れてくれたにお茶を呑気に啜った。
万が一、無実を証明できなかったら俺の立場は非常に危うくなる。最悪、解雇されてしまうかもしれない。それを口に出しところで、どうにもならない。
だったらいっそのこと黙っている方が良い。佐藤さんにこれ以上、心配を掛けたくない。