愛を欲しがる優しい獣
「ねえ、調査はどうなったの?」
「処分なし」
「良かった……」
安心したように息を吐く彼女の耳元に囁く。
「ありがと。心配してくれて」
「私も嬉しい。鈴木くんの潔白が証明されて」
人目がないのを良いことに、すっぽりと腕の中に収まった彼女の感触を楽しむ。
「くすぐったいよ」
汗ばんだ首筋や小さい耳に触れると、佐藤さんはくすぐったそうにケラケラと笑った。
仕事を忘れてずっとこうしていたかったのに。
「おーい、鈴木―!いるかー!」
この雰囲気をぶち壊したのは俺を呼びに来た、渉だった。