愛を欲しがる優しい獣

49話:残念系男子


「誕生日プレゼント?」

「そうなの。来週、ひろむの誕生日なの」

私はカーペット上ですやすやと寝息をたてているひろむに聞こえないように、声を低くして言った。

鈴木くんのおかげか食べ物の好き嫌いが減ってきた末の弟は、来週の土曜日で4歳の誕生日を迎える。

この一年ですっかり逞しくなったひろむの背をブランケット越しにゆっくり撫でる。

「良かったら一緒に買いに行ってくれない?」

私がひとりで買いに行くより、ひろむの好みを熟知している鈴木くんと一緒の方が何かと都合が良いだろう。

実際、去年は気に入らないものをプレゼントしてしまったせいで、折角の誕生日だというのに機嫌を損ねてしまった。

「良いよ」

鈴木くんは快諾してくれた。

「じゃあ明日、11時に改札の前で待ち合わせね」

買い物の約束を取り付けると私はすぐさま頭の中で誕生日会の算段をつけだしたのだった。

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