愛を欲しがる優しい獣
07話:忘れ物
「早苗、これあなたが買ったの?」
ダイニングテーブルの上に無造作に放置してある包みを指さす。
早苗は該当の包みに一瞥もくれずに答えた。
「違うわ。駅前の本屋なんて行ってないもの」
「そう…」
包装紙は駅前の大型書店のものだった。
昨日からずっと置きっぱなしで片付けようにも持ち主が分からない。
本屋へ足繁く通うのは早苗ぐらいだから、てっきり早苗だとばかり思い込んでいたのだが。
(困ったわ…)
持ち主が早苗ではないとするとあと心当たりは一人しかいない。
…鈴木くんだ。
(でも、鈴木くんがこんな本買うかしら?)
包み紙から現れた本のタイトルに首を傾げる。そこには勇ましいフォントでこう書かれていた。
“地球防衛隊セカイジャー”