愛を欲しがる優しい獣

「高校生の時だったかな。タイフーンジャーの再放送をたまたまテレビで見てさ。懐かしくって、興奮しちゃって。気が付いたら夢中になっていたんだ」

鈴木くんはパズルを元の場所に戻すと、今度は隣に展示してあったブロック玩具を積み上げ始めた。

「元々ゲームの類は好きだったんだけど、戦隊ヒーローに凝りだしたのはその頃からかな」

「ふーん……そうなんだ……」

(小さい頃から好きだったわけじゃないのね……)

てっきり、子供の頃から追っかけをしているのだと思っていたので意外だった。

大人が昔を懐かしく思うのと同じように、高校生だった鈴木くんもタイフーンジャーに思う所があったのかもしれない。

鈴木くんは限界まで積み上げたブロックを人差し指で倒すと、ボトルフィッシュに目を奪われていた私に尋ねた。

「それで、どれにするか決まったの?」

私はカートの中に入れたセカイジャーベルトとモンチュウのぬいぐるみをゆっくりと見比べた。

……どちらも捨てがたい。

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